■ 運営指導(旧:実地指導)とは
運営指導は、障害福祉サービス・介護サービスの事業所が、法律や基準に沿って適切に運営されているかを行政が確認するために行われます。
以前は「実地指導」と呼ばれていましたが、制度の見直しにより現在は「運営指導」という名称に統一されています。
実施の目的は次のとおりです。
- 利用者への支援内容が、支給決定や計画に沿って行われているか
- 職員体制や資格が基準どおり整備されているか
- 報酬請求に誤りや不正がないか
行政としては「改善すべき点があれば是正してもらう」という指導的な立場で行うものであり、事業所にとっては運営の質を見直す良い機会でもあります。
■ 運営指導が実施される頻度
事業所の状況によって異なりますが、一般的には 5〜6年に1回ほど のペースで行われることが多いと言われています。
ただし、
- 過去に重大な指摘があった
- 請求内容に不自然な部分がある
- 新規指定後の初回確認
といった場合には、通常より早めに実施されるケースもあります。
■ 運営指導の種類
運営指導は複数の角度から事業所の状況を確認します。主には以下の3区分です。
● 1. 運営体制指導
運営基準に沿った体制が整っているかを確認します。
- 職員の配置数や資格要件
- 雇用契約・勤務形態
- 研修実施状況
- シフト表と実績の整合性
日頃の体制整備がそのままチェック項目になるため、基準を正しく理解しておく必要があります。
● 2. サービス提供状況の指導
実際の支援内容が、個別支援計画や支給量に沿って適切に行われているかを確認します。
- 支援記録の内容
- 個別支援計画の作成・更新状況
- モニタリングの実施
- 利用者の状態に沿った支援になっているか
特に「計画と記録の整合性」は注目されるポイントです。
● 3. 報酬請求に関する指導
国保連への請求が正しく行われているかを確認します。
- 加算取得の要件が満たされているか
- 体制整備の記録が残っているか
- 実績と請求内容が一致しているか
加算は特に指摘が入りやすい部分なので事前準備が重要です。
■ 監査とは?運営指導との違い
「運営指導」と似ていますが、監査は性質が異なります。
- 運営指導:改善のための“指導的”なチェック
- 監査:法令違反の有無を確認する“処分前提”の調査
重大な不正請求や虐待、重大事故などの疑いがある場合に監査が行われ、
場合によっては 指定取消・加算返還・行政処分 が科される可能性があります。
■ 運営指導で提出・確認される主な書類
運営指導では、多くの資料提出・閲覧が求められます。代表的なものをまとめると以下のとおりです。
- 運営規程・重要事項説明書
- 職員の資格証・勤務表・雇用契約書
- 個別支援計画・サービス提供記録
- モニタリング記録
- 研修記録、会議録、加算要件の裏付け資料
- 事故・苦情対応の記録
- 避難訓練や防災関連の記録
- 請求実績と記録の整合資料
日頃から「誰が見ても分かる形で整理されている」ことが大きなポイントです。
■ 指摘を受けないためのコツ
運営指導を“乗り切る”というより、いつ来ても困らない状態を作ることが理想です。
特に次の項目は指摘されやすいため注意が必要です。
✔ よくある指摘ポイント
- 加算に必要な条件を満たしていない
- 個別支援計画の更新漏れ・署名漏れ
- 支援記録が簡素、または未記入
- 職員資格・研修履歴の整理不足
- 避難訓練や安全管理記録が不十分
✔ 日頃から意識しておくこと
- 記録は「タイムリー・具体的」に残す
- 加算の要件は全職員で共有
- 書類と実績に矛盾が出ないよう整える
- 年度ごとに社内チェック体制を作る
こまめな見直しと内部での点検が、結果として大きなトラブル回避につながります。
■ 運営指導の一般的な流れ
- 事前通知(約1〜2か月前)
- 必要書類の提出・準備依頼
- 当日の指導(行政職員が来所・確認・ヒアリング)
- 指導結果の通知
- 必要に応じて改善報告書の提出
場合によっては抜き打ちで来所確認が行われることもあります。
■ まとめ
運営指導は、事業所が適切なサービスを提供できているかを確認し、必要に応じて改善を促すための制度です。
ポイントを押さえて日頃から準備しておけば、慌てる必要はありません。
- 書類の整備
- 加算要件の理解
- 記録の適切な管理
- 職員体制の見直し
これらを丁寧に行うことが、指摘のないスムーズな運営指導につながります。


