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トラック運送業を始めるには

こんにちは、鯖江市で行政書士オフィスを開業しております宮地です。

 緑ナンバーの貨物自動車(トラック・バンなど)を使用して、有償で貨物を運送する事業の「トラック運送業」、正式には「一般貨物自動車運送事業」といいます。トラック運送業界ではドライバー不足が深刻化しており、政府は働き方改革を進めています。この事業の許可要件についてご説明します。

Ⅰ.『人』・・・組織体制及び人員

1.運行管理者が確保できていますか?(車両数29台以下の場合、1名必要)

→不在の場合は講習会・試験を受けるか雇用します。

(1)資格要件

 運行管理者試験に合格した方、または国土交通大臣の認定を受けた方です。運行管理者試験の受験資格は、運送事業における運行管理に関する1年以上の実務経験と自動車事故対策機構の基礎講習(3日間)の受講が必要です。

(2)常勤性等

 営業所に常勤することが必要です。運転者との兼任は原則できませんが、補助者の選任により不在時の業務を一部行うことができます。申請書に運行管理者・補助者の資格証明番号・勤務時間などの記載が必要です。

2.整備管理者が確保できていますか?

→不在の場合は雇用します。

(1)資格要件

 3級整備士以上の有資格者、または自動車の点検又は整備等に関して2年以上の実務経験と整備管理者選任前研修の修了が必要です。

※ 整備管理者の外部委託(整備工場等と契約)は禁止されています。

※ 実務経験で整備管理者になる方は整備管理者選任前研修を事前に受講していたことが必要となります。

※ 実務経験を証明するために勤務先の「職歴証明」が必要となります。

『実務経験の例』

○ 整備工場、特定給油所等における整備要員として点検・整備業務を行った経験

○ 自動車運送事業者の整備実施担当者として点検・整備業務を行った経験

○ 整備管理者または整備管理者の補助者として車両管理業務を行った経験

(2)常勤性等

 営業所に常勤することが必要です。補助者の選任により不在時の業務を一部行うことができます。申請書に整備管理者の資格証明番号・研修受講日などの記載が必要です。

3.運転者が適正な人数確保できていますか?

(1)資格要件

 車両に合致する運転免許を取得した正社員です。

(2)適正な運転者の人数

○ 営業所に週1回の公休日があり1人1車の場合 → 運転者数 = 車両数
○ 営業所が無休で1人1車の場合 → 運転者数 = 車両数 × 1.2
申請書に運転手氏名、勤務体制(休日・拘束時間・運転時間等)の記載が必要です。

4.申請者または法人の役員が必要な法令知識を有していますか?

 許可申請後に行なわれる法令試験(筆記試験)に合格する必要があります。

Ⅱ.『施設』・・・施設及び設備関係

1.車両は確保できていますか?

 車両数5台以上

2.建物(営業所・休憩所)が確保されていますか?

(1)建物の要件

 ① 1年以上継続的に使用する権限が必要です。

 ② 都市計画法・建築基準法・消防法・農地法等に抵触しないこと

(2)営業所

 ① 経営上適切な広さが必要です。

 ② 賃貸契約の場合は『事務所』として申請者名義で契約してください。

   『住居用』は不可。

(3)休憩睡眠施設

 ① 営業所又は車庫と併設していること。

 ② 乗務員数×2.5㎡以上の広さが必要です。(睡眠する場合)

3.車庫が確保されていますか?

(1)土地の要件

 ① 1年以上継続的に使用する権限が必要です。

 ② 建築基準法、都市計画法、消防法、農地法等に抵触しないこと

 ③ 経営上適切な広さが必要です。(駐車場・来客用駐車スペース)

 ④ 賃貸契約の場合は『駐車場』等の目的で、申請者名義で契約してください。

(2)その他

 ① 原則として営業所に併設していること

  ※ 併設できない場合は、当該営業所からの距離が原則10㎞以内

 ② 計画車両の全てを収容出来る車庫(無蓋のみでも構いません)を有すること

 ※ 7.5t以上38㎡、7.5tまで28㎡、2tロング20㎡、2tまで15㎡が一台の目安

 ③ 車庫の前面道路の有効幅員が車両制限令に抵触しないこと

   →道路管理者(市・県)の幅員証明書での確認が必要です。

 ※ 概ね最大車両の幅×2+1.5m以上の車道幅があれば結構です。

4.什器備品関係・機械工具関係

 自動車運送事業を経営する上での必要な什器備品を備え付けていること
 自動車の点検基準に定められた機械工具・測定用器具等を備え付けていること
 アルコール検知器は必須です。

Ⅲ.『金』・・・資金計画

 計画を遂行するための裏付けとなる資金が確保されていますか。運輸開始後の安定的経営のために極めて重要です。

所要資金の100%以上の預貯金が申請から許可までの間常時確保されていますか?

 自己資金には、当該申請事業に係る預貯金額となります。
 預貯金額は、申請日時点及び許可までの適宜の時点の残高証明書等の提出が必要です。

 預貯金以外の流動資産額を含めることも可能ですが、申請日時点の見込み貸借対照表の作成が必要です。

(1)固定資産関係

 事業に必要な車両費、土地、建物関係費、機械工具関係、什器備品関係の全額を計上します。
 リース車両の場合は、6か月分のリース料の計上で済みます。
 土地や建物を賃借している場合も、6か月分の賃借料の計上で済みます。
 分割払いの場合は、車両、土地・建物ともに、頭金と6か月分の割賦金の計上となります。

(2)運転資金関係

 ① 重量税、自動車税、取得税、消費税、登録免許税等の税金関係の年額
 ② 自賠責保険、任意保険の年額
 ③ 雇用保険・労災保険・健康保険・厚生年金の2ヶ月分の福利費
 ④ 人件費、燃料費、修繕費、減価償却費等の運送費の2ケ月分
 ⑤ その他経費の2か月分

※ 資金要件は計算方法が複雑ですので、許可申請を依頼される前に事前に当オフィスで確認することも出来ます。ご相談ください。

Ⅳ.その他

『会社の目的』

 登記された会社の目的に運送業が含まれていることが必要です。
  例)一般貨物自動車運送事業
 上記の目的が記載されていない場合は、目的追加の登記を事前に行っていただくことが必要です。

『社会保険等の加入』

 運送業の開始前に労働保険と社会保険に加入していただくことが必要です。

『法令遵守』

① 申請者又はその法人の代表権を有する常勤の役員は、一般貨物自動車運送事業の遂行に必要な法令知識を有しかつその法令を遵守すること(法令試験の合格)。
② 申請者又は申請者が法人である場合にあってはその法人の義務を執行する常勤の役員が、道路運送法、貨物自動車運送事業法等の法令遵守の点で問題のないこと。

『損害賠償能力』

 貨物自動車運送事業者が事業用自動車の運行により生じた貨物その他の者の生命、身体又は財産の損害を賠償するために講じておくべき措置の基準を定める告示で定める基準に適合する任意保険又は共済に計画車両の全てが加入する計画があること。
 生命または身体の賠償・・・一人につき8,000万円以上のもの
 財産の賠償・・・一事故につき200万円以上(免責額30万円以下)のもの

執筆者
行政書士オフィスなかよしの宮地利光です。
行政書士として地域の皆さまをサポートしてまいります。お気軽にご質問ください。